近代サウジアラビアの成立 1914~1939年頃
英国インド省の記録からたどる近代サウジアラビアの成立
本コレクション The Creation of Modern Saudi Arabia, c. 1914–1939 は、英国インド省の政治・機密部門のアーカイブを収録したデジタル資料集です。サウジアラビアの国家としての歴史を知るうえで重要な文書群が、初めて完全な形でデジタル化されています。機密扱いの印刷報告書、地図、覚書、便覧のほか、政治・機密部門の政策ファイルが含まれ、国際関係の広範な背景、拡大する政治行政の実務的な詳細、社会・経済インフラの発展についても記録されています。
サウジアラビア王国は、1932年にアブドゥルアズィーズ・ビン・アブドゥルラフマーン・ビン・ファイサル・アール・サウード(イブン・サウード)によって正式に建国されました。1902年のサウジ軍によるリヤド奪還から1930年代の石油資源の開発・利用に至るまで、英国はサウジ王室と緊密な関係を維持し、その過程を詳細に記録しています。20世紀初頭にはアラビア半島中央部の小規模なスルタン国にすぎなかったサウジ王国が、第二次世界大戦前夜には経済的に強力な近代国家へと成長する様子をうかがうことができます。
英国のアラビアおよび湾岸地域への関心は、17世紀の東インド会社による最初の接触にまで遡ります。その後、経済的・戦略的理由から、この地域はインドにおける大英帝国の広範な政治・経済圏に組み込まれていきました。英国のアラブ諸国との関係は、通常、湾岸地域に駐在する政治官や代理人によって管理され、彼らはボンベイ、カルカッタ、またはデリーの帝国政府に直接報告し、最終的にはロンドンのインド省に報告を上げていました。英国政府のこの地域に対する政策はインド省で策定され、インド亜大陸外の地域との関係を統括・監督するのが政治・機密部門の役割でした。第一次世界大戦後、外務省や植民地省のアラビア問題への関与が増し管轄が複雑化したものの、第二次世界大戦に至るまで、インド省はこの地域における英国の情報収集や政策立案において重要な役割を果たし続けました。
1914年までに、英国はクウェート駐在の政治官 W.H.I. Shakespear 大尉を通じてイブン・サウードとの一連の会談を開始しており、1915年12月に締結された Darin 条約(英・サウジ条約)を境に、それまでの「アラビア内陸部の政治には関与しない」という方針を徐々に放棄していきました。その後の25年間、英国の湾岸、ロンドン、インドの各政府関係者は、アラビアの政治情勢の変化を観察・記録し続けました。第一次世界大戦中の南西アラビアにおける勢力均衡の変動や、サウジとイエメンの抗争についての報告も含まれ、この対立は1930年のアシール地方のサウジ編入、1934年のターイフ条約におけるサウジ・イエメン国境の確定へとつながっていきます。
また、サウジアラビアの石油産業の発展は英国の経済的・戦略的関心と密接に結びつき、北部・東部・南東部の国境問題、とくに英国が統治していたアデン植民地(現・イエメン南部)やその保護領との境界問題とも絡んでいました。サウジ国家の行政機構やインフラが発展を遂げる過程も、英国の官僚や技術専門家によって記録され、時には助言もなされています。英国の記録はその性質上、主に英国側の視点によるものではありますが、当時の官僚や軍人の知識や手腕、英国の旺盛な情報収集欲、さらには Shakespear 大尉、Gertrude Bell、H. St. J.B. Philby といった冒険家・官僚の、時に分かれる忠誠心が組み合わさり、近代サウジ国家の台頭についてバランスの取れた記録が作成されました。
収録内容 ― 文書のタイプ別、全8セクション構成
- Gazetteers and Handbooks
- Arabian Politics and the First World War
- Arabia after the War – Territorial Consolidation, the Conquest of the Hijaz
- Regional Relations and Boundaries – Kuwait, Iraq, and Transjordan, 1920–1932
- Regional Relations and Boundaries – Asir, Yemen, and the Red Sea, 1919–1934
- The Kingdom of Saudi Arabia – Government and Infrastructure
- The Kingdom of Saudi Arabia – International Relations
- The Kingdom of Saudi Arabia – Oil, Boundaries, and Regional Relations/Post-War Economic Development
第1セクションには、政治・機密部門の部門図書館(L/P&S/20)に保存されている印刷版地誌・便覧と、インド省軍事部門(L/MIL/17)の図書館からの関連資料が収録されています。その他のセクションには、インド省の政治・機密部門の主題別ファイルが、主要なトピックごとに整理されています。
収録文書の例
- サウジアラビア全域の歴史、地理、社会、経済に関する地誌・便覧(地図、部族の記述、主要人物の伝記的記録を含む)
- アラビアおよび湾岸地域における英国代表者からの報告書・書簡
- 外交交渉、国境問題、石油利権交渉に関する詳細な記録
- 各部門間会議の議事録
- 石油会社との書簡や契約書、石油利権契約の草案と最終版(地図付き)
- 国境協定および地図、各国政府間の協議記録、外交書簡
- アブドゥルアズィーズ国王や他の地域統治者からの書簡
- 中央政府の機構、インフラ、地理、社会・宗教生活、主要人物に関する情報
- 地方行政の設立や社会・経済インフラの構築に関する背景情報・実務的詳細を記録したファイル
利用条件
- 大学・学術機関向け
- 買い切り(Outright Purchase)
- IP接続によるご利用、同時アクセス無制限
- Archive 買い切りの年間管理費(Annual Hosting Fee)は不要です
- 正式な見積価格は最寄りの弊社営業部までお問い合わせください
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