◆アンシャン・レジームと革命期のフランスを観察し続けた18世紀最大の文芸誌をデジタル化
1672年にパリで創刊された『メルキュール・ガラン(Mercure Galant)』は、学者限定ではなく、広く文人、教養のある人々、文学愛好家を対象にした雑誌であり、サロンやコーヒーハウスなどの空間と相俟って、人々の交流と情報の交換に貢献し、啓蒙主義を支える重要なインフラとして機能しました。誌名は、創刊時の『メルキュール・ガラン』から『ル・ヌーヴォー・メルキュール・ガラン』、『ル・ヌーヴォー・メルキュール』、『メルキュール』を経て、1724年『メルキュール・ド・フランス』に変更され、以後18世紀を通じてこの誌名で発行され、現在はこの誌名で通称されています。収録記事は文芸作品の他、新刊書の書評、広告、文壇の話題、パリや宮廷の話題、上流階級のファッションや習俗の話題、劇評や劇場の話題が掲載されました。検閲制度の下、政治的議論が厳しく制限されていたアンシャン・レジームのフランスでは、文芸や美の話題が政治的意味を担うこともありました。とりわけ、18世紀半ば以降『メルキュール・ド・フランス』は啓蒙のフィロゾーフの精神と共鳴しながら、公衆の形成に寄与しました。誌上では、ルソー、ヴォルテールらの思想家、ディドロ、ダランベールら百科全書派の著作もしばしば取り上げられました。『メルキュール・ド・フランス』はアンシャン・レジームと革命期のフランスを観察し続けました。
本コレクションは、1672年の創刊から1810年までを電子化し、原紙を忠実に再現、OCR処理を施しフルテキスト検索を実現したものです。
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