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War on Poverty Community Profiles: Midwestern States.


ジョンソン政権の貧困戦争プログラム 全米自治体現況報告:中西部諸州篇

◆貧困戦争プログラムのために地域の実情を統計的に把握

 ジョンソン政権の「偉大な社会」計画が推進した数多くの政策プログラムの中でも、貧困対策は計画の基幹をなす看板プログラムとして位置付けられていました。「貧困戦争(War on Poverty)」と名付けられたプログラムは、全国一律ではなく、地域の実情に即した地域主体の貧困対策が組み立てられ、経済機会局がこれを監督するという形で進められました。経済機会局の基本的理念は、「地域の活動(community action)」という考え方で、貧困層を支援するプログラムの組立と運営に貧困層自らが参画することが求められました。地域の実情を評価する試みとして経済機会局が進めたのが、コミュニティ・プロファイル・プロジェクト(Community Profile Project, CPP)です。CPPは全米を3,135の郡(County)に分け、各々の郡の経済、社会、人口動態、地理、貧困状態等の情報を収集し、全国共通のフォーマットに落とし込み、これを基に貧困対策を計画、立案、評価するという試みです。

 情報収集と地域単位の現況報告(プロファイル)作成のため、経済機会局はコンピュータ科学者で社会科学の学位も有するジョナサン・ロビン(Jonathan Robbin)を任用し、地域社会の社会経済状態を共通フォーマットへ落とし込めるよう、統計データを比較可能なものとする指標の開発を委託しました。その際に使われたのは、1960年の国勢調査と連邦政府の統計データです。こうして、統計情報と記述情報からなる全国3,135郡に関する10万ページ以上に及ぶ現況報告(プロファイル)が完成、地域単位の貧困対策を行なう現場の政府職員の利用に供されることになりました。

 このような現況報告が作成された背景には、1960年代の政策科学の発展がありました。戦後の経済発展により自信を深めたアメリカでは、イデオロギー論争の時代は終焉し、経済社会の諸問題は社会工学的に解決されるとの考え方が時代の通念となり、多くの科学者が数量的分析手法やコンピュータを携えて、政策立案に参画しました。経済機会局の委託によりジョナサン・ロビンが統計指標を開発し、現況報告の作成を可能にしたのも、科学者の政策への参画の一例です。

◆全米自治体の現況報告の中西部諸州を電子化

 本アーカイブはジョンソン政権の貧困戦争プログラムの基礎資料として作成された全米の自治体の現況報告を収録し、原本のイメージでの閲覧を可能にしたものから、中西部諸州の現況報告を収録するもので、イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ミシガン州、ミネソタ州、ミズーリ州、ネブラスカ州、ノースダコタ州、オハイオ州、サウスダコタ州、ウィスコンシン州を収録します。ジョンソン政権の貧困戦争を実施する上での基礎資料として歴史的価値を有するのみならず、数量的分析による新しい政策科学の誕生を証言する記録としても不朽の価値を持つ資料です。

※本コレクションはPrimary Source MediaのマイクロフィルムThe War on Poverty and the Office of Economic Opportunity Part 2: Community Profiles Midwestern States をデジタル化したものです

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