◆第一次世界大戦時の帝国日本によるドイツ植民地の押収の記録
第一次世界大戦でドイツが敗戦すると、アフリカや太平洋のドイツ領植民地は国際連盟から委任される形でイギリス、フランス、日本等が統治し、植民地が再分割されました。
本コレクションは、米国国立公文書館が所蔵する国務省一般記録群(RG59)のセントラル・ファイルの中から、ドイツが領有した中国の膠州湾租借地と太平洋諸島のドイツ領植民地の情勢に関する米国国務省の文書を収録します。膠州湾租借地は第一次大戦中、日本に占領され、1922年に中国に返還されるまで日本が租借地として領有しました。太平洋諸島のドイツ領植民地は第一次大戦後、日本の委任統治領になりました。本コレクションは、1910年から1929年まで、ドイツ領植民地だった時代から日本の租借地、委任統治領になった時代までの約20年に及ぶこの地域の情勢を米国外交官の眼を通して記録した文書を収録します。
収録文書は、これらの地域に駐在した米国の大使、公使、領事と国務省本省との間で交わされた往復文書です。外交官の重要な任務は駐在地の国内情勢を国務省本省に報告することです。外交官の報告は、政治や軍事関係の出来事の報告、社会経済関係の統計データ、当地の政府高官や政治指導者との会談の議事録、法律関係の記録、大使、公使、領事が送受信した重要な書簡や電信の写し、雑誌や新聞記事の切り抜きや翻訳、当地政府のハイレベルの文書等で構成され、アメリカと駐在国の外交関係の形成過程を明らかにする貴重な史料であることはもちろん、政治、政党、人権、行政、政情不安、蜂起、革命、財政、金融、貿易、産業、天然資源、労働、住宅から教育、宗教、文化、治安、犯罪、公衆衛生、公共事業、国防、外交、戦争まで、駐在国の内政事情全般を時系列に、主題別に、包括的に記録したものであり、外交官の文書が基本的に自国の国益というフィルターを通して出来事が選別されるということでは説明しきれないほど広範な領域をカバーし、駐在国の政治史、経済史、社会史を研究する上で欠かすことのできない史料でもあります。加えて、植民地宗主国でも支配下の住民でもない第三の立場から記録したものとしても、第一級の史料的価値を持っています。
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