◆1980年代末から90年代初頭の米国金融機関の破綻に関する機密資料のデジタル化
貯蓄貸付組合(以下S&L)は、個人住宅抵当貸付と貯蓄預金の受け入れを基本的業務としていました。規制緩和によってS&Lは多くの銀行機能を持つようになり、商業銀行との競争が激しくなりました。連邦免許の貯蓄金融機関に対する規制緩和が実施されるとすぐに、州法免許貯蓄金融機関にも連邦免許が与えられ、カリフォルニアやテキサスのように、連邦政府の規制に倣って州法を変更する州が現れました。
1970年代後半から80年代初めにかけての不動産景気と高い金利の時期に、多くのS&Lは、良識の枠を越える巨額の資金をリスクの高いベンチャー、中でも商業不動産に貸し出しました。連邦預金保険公社FDICの元総裁で、整理信託公社RTCの元理事長L.W.シードマンは、80年代と90年代の銀行業の問題が主として不安定な不動産融資にあることを指摘しています。多くのS&Lの経営者がリスク管理に未熟であり、また、不正融資も横行したことなどから、資産内容の悪いS&Lが急激に増加しました。こうしてS&Lの多くの組合が経営危機に陥り、最終的な損失は、約1600億ドルに達したと見積もられています。1989年にブッシュ政権は、そのうち約1246億ドルの財政資金を緊急援助として投入したのです。
本コレクションは、ブッシュ大統領図書館に所蔵され、最近機密解除された資料をデジタル化したもので、1980年代後半から90年代初頭におけるS&Lの経営破綻を詳述し、その深まる危機への連邦政府の解決策を記す資料です。本コレクションは、ホワイトハウスや当局関係者の通信文書、覚書、研究、分析、証言、新聞切り抜きなどから構成されています。
Online