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[ヴォルテール] 『カール12世伝』 初版 全2巻1冊 1731年 バーゼル刊 [ルーアン刊]
Histoire de Charles XII, Roi de Suede, Basle[Rouen], Christophe Revis, 1731..

[在庫] ¥165,000.- (税込) *

著者・編者 V*** [Voltaire],
ニュース番号 <R22-27>

First edition, 12mo, vol. 1: 180pp, vol. 2 :176pp, contemporary calf binding, title lettered in gilt on red morocco, decorative spine in compartment, red edges
ヴォルテールが多作の歴史家であることは一般には知られていない。彼の初期の著書の一冊は、一六八二年から一七一八年の生涯を送り一六九七年に王位に就いたスウェーデンのカール十二世の歴史である。カールの治世は、彼が飽くことを知らない情熱を燃やし、けた外れの才能を発揮した戦争の遂行に全面的に費やされたという事実ゆえに注目に値した。(中略)
 ヴォルテールはこの物語を見事に語っているが、彼の多くの関心事を考えてみると、ともかくこの主題を選んだのはいささか驚きに値する。それにも増して驚くことは、本書が政府当局から危険だとみなされ、その結果ルーアンで秘密出版しなければならなかったということである。記録に残すに値する事柄は大変革をもたらした出来事であるか、巨匠によって描かれた無名人の肖像と同様にきわめて優れた作家の描写によってその出来事が多くの作品から抜きんでている場合に限られる、という意味合いの序文の一節を、そんな仕打ちにあった論拠としてベスタマン氏は挙げている。だがこの一節を、ベスタマン氏がうっかりして「出来事」を「国王」と読んでしまったという事情によるとはいえ、これだけの事柄で若年のルイ十五世またはその大臣たちに警戒心を起こさせるに足るとはとても思えない。不当な話だが、おそらくヴォルテールが君主について書いたものはなんであれ不敬不遜の疑いがあるとみられたのであろう。

引用文献:A.J. エイヤー著、 中川信/吉岡真弓訳『ヴォルテール』1991年、法政大学出版局、115-116pp