■破綻のその時まで実際の業務に使用していた現用経営文書を公開
■バブル期の資産運用・海外簿外債務の実態が明らかとなる
東京大学経済学図書館は、同社(※山一證券株式会社)より資料の寄贈を二次にわたって受けたが、今回、デジタル(DVD)版とマイクロフィルムの形で公開される資料は、第二次寄贈分を整理・分類したもののうち、「経営企画室」関連資料である。第二次寄贈分の資料は、 第一次寄贈分とは異なって、多くは 1980 年代、90 年代のもので、国際営業に関連する資料群、エクイティファイナンスに関わる資料群、 デリバティブに関わる資料群、金融当局とのやり取りや経営トップの意思決定に関わる資料群などがその主要部分を占めている。資料には、 東京地検特捜部に押収・返還という経過をたどったものも、海外支店・出張所から戻されたもの、国内地方支店のものなど各種あり、それらの資料は大部分が、未整理のままダンボールに納められていた。このため、この受入分については、別の分類体系を作ることが必要となり、整理・分類に長期間を要したが、ようやく整理が完了し、 公開の運びとなった。バブル期、バブル崩壊期の証券市場、証券会社経営の実態を知るための不可欠の資料といえる。
(伊藤正直:東京大学名誉教授) ※「山一證券未公開内部資料第二期の公開開始にあたって」より抜粋。
資 料 内 容
この度公開される第二期第一集は、山一證券の「経営企画室」が保有していた文書で、実際の業務に使用されていた現用経営文書です。その主な内容は、部店長会議関係記録、各部通達文書、出向先関係文書、 令達集、商業登記、経営企画室・企画室総務課押捺請求簿などの約5万ページに及ぶ資料集です。
Disc 1: 部店長会議関係
部店長会議関係には、昭和 59 年から平成 9 年までの会議資料が収録され、社長挨拶原稿やメモ類、会議進行に関する資料など、部店現場のトップに対して、同社の経営方針が伝達・徹底されていく過程を物語るものです。また現場からのアンケート調査による生の声を記録した文書類など、同会議にまつわる各種資料を見ることができます。
Disc 2: 各部通達
各部通達には昭和30年から平成9年に至る通達を収録しており、人事部、人事通告、監査部、 国際事務部・外国債券部、債券トレーディング部、秘書室、総務部、リスク管理部、資金部、営業企画部、経理部などの通達文書と共に、昭和30年から平成5年12月までの互助会綴の資料も収録しています。
Disc 3: 出向先関係
各財団法人や研究会などの出向先関係の文書です。出向先の事業報告書、メモや会議資料、及び各種パンフレットは比較記録として貴重です。また、社外秘とされた令達集は、昭和36年から平成8年までの各部署への命令・訓令などが収録され、規律や心得、具体的案件処理に関する対応などが詳細に記載されております。
Disc 4, 5: 商業登記
商業登記は昭和45年から平成元年までの同社の信用情報を辿ることができ、また営業規模の拡大、資本の増強、海外への飛躍などを裏付ける資料として、山一證券の発展の軌跡をおうことができます。そして企画室総務課の押捺請求簿は、古くは昭和十四年からの社印取締役印押捺請求簿が記録され、その後の廃棄印鑑の印鑑簿に至る簿冊資料は、印影からの同社の歩みを知り得る歴史的価値を有しているだけでなく、その時代世相をも反映する貴重な社会史料ともなっています。
索引(全ての Disc に収録)
これら大量の文書集には 50,000件を超える詳細な分類リストを用意し、目的の文書への到達を助けます。リストから画像への直接リンクもされています。また高精細カラー・均一フレームの画像によって資料閲覧の負担を大きく軽減させ、快適な環境となりました。
DVD 閲覧・動作環境
DVD の閲覧は、ブラウザ(例:IE, Safari)と PDF閲覧ソフト(例 Acrobat Reader)を使用し、専用のソフトウェア等は必要ありません。ご利用 OS がアップデート(Windows 10 等)された場合でも、 ブラウザとPDF閲覧ソフトがインストールされていれば、問題なくDVDを利用・閲覧することができます。
マイクロフィルム版
画像はデジタル撮影されており、高精細画像そのままマイクロフィルム版へコンバートされています(モノクロ)。品質保証と共に、図書館の長期保存の要請にもお応えします。