ブラジルの政治に地殻変動をもたらした労働党（the Partido dos Trabalhadores）は、比較的新しい政党であり、労働者、知識人、進歩的聖職者など様々な分野の運動の指導者によって結成され、軍事独裁政権に対立してきました。労働党によるブラジルの主要な経済・政治・社会課題への様々な革新的アプローチと取り組みは、労働党の発展と成功をもたらし、国際的にも注目されています。
　今回新しくマイクロ化された第3部は、ルーラが1989年、94年、98年に挑んだ大統領選挙キャンペーンの文書です。3回の選挙で、彼は大統領に選出されませんでした。しかし彼は、次第に人気を博し、ブラジル最大の野党指導者として地歩を固めるほどに成長しました。ここに集められた文書は、彼が労働組合のリーダーから現代ラテンアメリカ政治の指導者へと転身する内幕を提供します。
　ルーラは、2002年に大統領に就任すると、小党分立であった議会をまとめるために政治的連立を模索せざるを得ず、無数の政治的課題に直面しました。しかし、その手腕ゆえに、大統領2期目の終盤である現在でも70～80%の支持率を維持しています。彼は、ブラジルの経済を安定させ、その成長を促しました。また、所得分配を発展させ、社会政策も積極的に行い、国家と社会運動の間の対話を促進することで、ブラジルの民主主義の地平を新たに切り開いたのです。
　本資料集をブラジルの政治・歴史・社会の研究者・図書館にお薦めいたします。