出版社 | (UPA, US) |
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出版年 | 2010 |
ニュース番号 | <K11-923> |
本コレクションは、米国国立公文書館が所蔵する州際通商委員会Interstate Commerce Commis-sion(以下ICC)の資料をマイクロ化したもので、ICCが調査し改善を追求した、非公式の苦情300件以上のファイルから構成されています。大半のファイルは、公民権運動の最も盛んであった1960年代に記録されたものです。本コレクションをアフリカ系アメリカ人、公民権運動、アメリカの交通・運輸史の研究者にお薦めいたします。
ICCは、1887年の州際通商法Interstate Commerce Actの下で政府の独立した官庁として設立され、当初、鉄道料金の規制を監督しました。1995年に廃止されるまでに、ICCは、運送・通信事業の規制から交通上の人種統合の裁定までその権限を拡大し、1940年代には人種隔離廃止に取り組むようになりました。61年からは公民権問題において本格的な活動を展開し、州際交通におけるジム・クロウ的慣習の解体に貢献したのです。
Mitchell v. U.S. (1941年)で、連邦最高裁は、州際の移動における人種差別を違法とする判決を下しました。これ以降も、連邦最高裁は、幾度となく交通機関における人種分離に不利な判決を下したのです。こうした運送・交通上の人種統合に向けた動きの画期となった事件がKeys v. Carolina Coach Co. (53~55年)でした。この裁判は、アフリカ系アメリカ人の乗客がジム・クロウ的なバス座席に異議を唱え、その訴えが認められた最初の事件で、後に諸州間のバス運行の人種差別を禁ずる根拠となったものです。この裁判では、上記のような交通上の人種差別に関する最高裁判決と、人種別に分離された施設・設備を違憲としたブラウン判決を背景に判決が下されたのです。この事件から6年後の1961年11月に、ICCは、州際交通における人種分離の終結に向けた新たな試みを開始しました。ICCは、人種分離への調査を指導し、バス会社や鉄道会社との合意を通じて改善策を追求したのです。公共施設での人種分離を禁ずる64年の公民権法は、ICCにさらなる法執行のための根拠を与えました。
・ISBN 978-1-60205-137-9 microfilm
¥2,170,509.- (税込)