連邦捜査局(以下FBI)は、人種分離や反ユダヤ主義、共産主義などを標榜する白人の過激派団体を監視しようとして、各地域の捜査記録をまとめていました。FBIは、その体制、指導者、活動に関する情報を入手するために、内偵者を潜入させ、内偵者は、そこで得た情報を担当捜査官に報告しました。こうして得た情報は、ワシントンDC本部をはじめ他の州の捜査官にも回覧され、捜査活動に利用されました。このような情報の共有化は、FBIの活動にとって不可欠だったのです。
　本コレクションに収録される主要な団体・人物は、以下の通りです。アメリカ・ナチ党American Nazi Party、Association of South Carolina Klans、Black Legion、白椿騎士団Knights of the White Camellia、National Knights of the Ku Klux Klan、National Socialist Liberation Front、アメリカ国家社会党National Socialist Party of America、全国州権党National States Rights Party、Original Knights of the Ku Klux Klan、George Lincoln Rockwell、Gary Thomas Rowe Jr.、Gerald L. K. Smith。こうした団体の多くは、複数の州にまたがって活動し、その主要な人物たちは講演、集会、定例会議の度に、全米各地を訪れました。言うまでもなく、彼らは、それぞれ異なる信条や主張を持っていましたが、アフリカ系アメリカ人に対する人種主義的見方は共通していました。彼らは、人種統合された学校や職場、コミュニティを拒否し、黒人を道徳的基盤の破壊者、知的に劣った野蛮人と断じて憚らなかったのです。
　本コレクションは、FBIが所蔵する捜査・監視記録をマイクロフィルムにしたもので、1930年代から70年代までの全米各地のFBI出先機関からもたらされた過激な白人団体の監視報告書集です。スピーチ、パンフレット、小冊子、書簡、新聞、雑誌記事、覚書、写真、ポスター、インタヴュー、チラシ、ニュースレター、ラジオ・テレビ放送の抜き刷り、書籍、裁判資料など多様な資料を収録しており、アメリカの人種分離、反ユダヤ主義、共産主義の展開を探るのに重要な資料です。