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シンクタンクによる《移民問題》特別研究報告書集
Immigration: Special Studies Series. Collected studies and materials held by federal agencies. 35mm silver positive microfilm with guide.

出版社 (UPA, US)
ニュース番号 <K08-354>

米連邦政府は、米国及び世界で展開されている移民パタ―ンの最近の劇的な変化に対応して、多くの重要な研究を委託してきました。現代社会では複雑で流動的な国際問題について、広範なデ―タの収集から徹底的な分析までひとつの機関でおこなうことは不可能となっており、米国では高度に専門化した政府および民間のシンクタンクがそれぞれ特殊な研究を分担しています。本資料集は、1969年から2007年の時期、移民問題についてこれらシンクタンクが政府に提出した研究報告をまとめたものです。今回、新しく2004年から2007年の時期がマイクロ化されました。
 2004年、移民法執行の際の州法や地方法の執行機能に関する上院の公聴会で、ジョージア州選出上院議員Saxby Chamblissは、移民の問題を国家安全保障の問題とセットにして訓戒的な物語を提起しました。そのなかで、彼は9・11同時多発テロの数ヶ月前に、ハイジャックの実行犯3人が交通違反で警察に取り締まれられた事実を説明しました。彼によると、犯人の車を停車させた時、地方警察官は他に怪しい点を察知できなかったということです。例えば、そのうちの一人は、CIAの警戒者リストに挙がっていた人物で、別の一人には逮捕令状が出ていました。にもかかわらず、両人とも逮捕されずに警察の手を逃れることができたのです。Chamblissは、より組織的で骨太な移民法執行のシステムが整っていたならば、3人のハイジャック犯をテロ前に取り押さえることが可能であったことを示唆しました。この話が物語るように、9・11同時多発テロ以降、政治家は移民と国家安全保障の問題とを結び付けて議論してきました。この連関は、政府が米国移民帰化局INSを米国国土安全保障省Department of Homeland Securityの管轄下に編入させたところに表れています。本資料集の数多くのレポートは移民と国家安全保障との関係性をフォーカスします。
 一方、他の主要なテーマは、国境警備の強化を視野に入れた不法入国管理の問題です。'The Dark Side of Illegal Immigration: Cause for National Concern?'のレポートの中で、米国陸軍大学校のVicki A. Brownはメキシコ系移民の歴史と不法在留外国人の特徴、そして国家安全保障と不法入国の経済的意味合いを解明しています。また、Petrocelli D. Scottは、2007年の論説'Mexican Migration: Assessing Root Causes'のなかで、同じような問題に注意を喚起しています。Scottは、メキシコからの不法移民が米国に重大な経済的危機を引き起こすものではないと断りながらも、国境警備の徹底化が、発見しづらいテロリストの進入、或いは麻薬密輸業者の米国入国を妨げるために有効であると論じています。一方、David L. Stoneの'Sealing the Border with Mexico: A Military Option'(2004)と題された論文は、Esequiel Hernandezの事件を引用しています。Hernandezは、米墨国境をパトロールする米国海兵隊によって銃殺された米国市民でした。Stoneは、この事件が軍事組織に国境パトロールを任せることの問題例として移民活動家や人権活動家によって引用されてきたことを指摘します。彼の見解では、この問題への最良の解決策は、メキシコの生活環境を改善することであり、それによって、越境する必要性を失くすことなのです。不法入国と国境警備に関する他のレポートは、「米墨国境警備問題に対応する国家戦」'National Strategy to Address U.S./Mexican Border Security Issues'、「軍の国境配備の時」'Time to Put the Military on the Border'、「メキシコ国境におけるテロリストの入国拒否にあたっての民警団と軍の利用」'Posse Comitatus and the Use of the Military in Denying Terrorist Access to the United States along the Border with Mexico'など米国陸軍大学校のレポートです。また、一連の政府説明責任局GAOのレポート'Border Security'や海軍大学院の'Modeling the U.S. Border Patrol Tucson Sector for the Deployment of Operations of Border Security Forces'レポートも、メキシコ国境付近のパトロールの問題を検討しています。
 さらに、本資料集は、不法入国、国境警備、国家安全保障の問題に加えて、移民の雇用や医療の問題も分析対象になっています。まず雇用の問題については、農場労働者の不足、ゲスト・ワーカー・プログラム、暫定的入国許可、専門的な非移民労働者が大きく取り上げられます。つぎに、医療問題が以下のGAOの研究で分析されています。一つは、密入国者による補償されない病院看護費用に関する'Undocumented Aliens: Questions Persist about Their Impact on Hospitals' Uncompensated Care Costs'(2004)や、もう一つは、国内の医師不足改善のため外国人医師の永住を保障するJ-1ビザ・ウェイバーの利用に関する''Foreign Physicians: Data on Use of J-1 Visa Waivers Needed to Better Address Physician Shortages'(2006)です。他方、同じように下院エネルギー商務委員会の公聴会「メディケイド・プログラムや我々の医療提供システムへの不法移民の影響の分析」'Examining the Impact of Illegal Immigration on the Medicaid Program and Our Healthcare Delivery System'でも移民の医療問題が分析されています。


1969 - 2007: 54 reels. microfilm

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