儒教の近現代の系譜学への主流派の評価には、中国中心主義的なバイアスが存在しています。それは戦後期の政治哲学者・道徳哲学者・思想史家によって近現代日本の儒教が無視されていることに起因しています。
本書は19世紀半ばから21世紀までの近現代日本の儒教をカバーした論文集です。本書に収録されている論考は、近代化・帝国主義的拡大・1945年以降の自由民主主義的政体としての再構成といった日本の重要な段階における、儒教思想を再構築した改革者・教育者・哲学者の思想的・イデオロギー的傾向などを考察しています。また、その著作が日本国外にはほとんど知られておらず、日本国内でかろうじて記憶されているような近現代の儒教思想家・改革者の入門書としても有用な1冊です。
本書を宗教学、儒教、近現代日本に関心を持つ研究者・研究室にお薦め致します。