精神疾患をどのように概念化し、診断し、治療したか
王立ベスレム病院はロンドンにある精神科施設で、1247年にOrder of St Mary of Bethlehemの修道院として設立され、14世紀頃から精神疾患の患者のケアを始めました。この施設は、精神疾患の診断方法や患者への不適切な処遇で悪名高いものでした。
本コレクションは、王立べスレム病院の4世紀にわたる記録と13万点の画像を収録しています。記録の形式と内容は多岐にわたり、任意入院および犯罪による入院の登録簿、退院および死亡登録簿、男女別の患者カルテ、理事会の議事録、職員給与簿などがあります。なお、手書きの記録は基本的に文字起こしされています。
これらの記録を俯瞰することで、いわゆる精神障害者法(月狂条例)の発展について独自の洞察を得ることができ、また初期の段階では精神疾患患者の管理において強制と拘束が重視されていたのに対し、後には自己規律や道徳的管理といった原則が台頭してきたことが見て取れます。
本アーカイブは、Bethlem Museum of the Mindに保管されており、Warlingham Park Hospitalなど他の英国の精神科施設の資料も含まれています。また、本コレクションには、Warlingham Park HospitalがCroydon Mental Hospitalと呼ばれていた1903年から1913年の間に作成された患者の症例記録も収録されています。
病院の通称「ベドラム」(Bethlemのジャコバイト運動の時代の発音)は、英語の日常語で「大混乱や騒乱の場」を意味する言葉として定着するほどでした。病院の悪評は、特に精神医療に対する時代遅れのアプローチ、非衛生的で刑務所のような患者の収容施設、回転療法や冷水療法から瀉血や浄化療法に至るまでの残酷で非効果的な治療法の使用など、いくつかの要因によって形成されました。18世紀には観光名所にさえなり、見物料を支払った訪問者が病棟に入り、患者を物珍しげに眺めることが許されていました。
こうした状況や慣習に対する異議は長らく唱えられてきましたが、1815年の議会調査によって問題が明るみに出るまで、「精神障害者法改革」は本格的に始まりませんでした。10年間拘束され続けたアメリカ人船員James Norrisの窮状(本コレクション収録)は、立法者や一般市民の間で問題視され、これをきっかけに、王立べスレム病院を含む精神疾患の患者の扱いは徐々に改善されていきました。
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