◆マクグレガー/ノルティー編 『アメリカ軍の中の黒人:基本資料集成 1639-1973年』をデジタル化
本コレクションは、1977年に出版された、植民地時代からヴェトナム戦争まで約340年間にわたるアフリカ系アメリカ人の軍隊参加の歴史を豊富な一次資料とともにたどるマクグレガー/ノルティー編『アメリカ軍の中の黒人:基本資料集成 1639-1973年』(Morris J. MacGregor and Bernard C. Nalty (eds.) Blacks in the United States Armed Forces: Basic Documents. Wilmington, DE: Scholarly Sources, 1977)全13巻を収録するものです。
各巻の構成は、第1巻「奴隷制の時代」から始まり、第2巻は「南北戦争と奴隷解放」、第3巻「自由とジム・クロウ 1865-1917年」、第4巻「常態化する人種隔離 1917-1940年」、第5巻「第二次大戦期の黒人兵士」、第6巻「第二次大戦期の海軍機構における黒人」、第7巻「戦後の黒人要員雇用計画」、第8巻「追い詰められる人種隔離方針」、そして第9巻から第11巻は「ファヒー委員会」、第12巻「人種統合」、第13巻「機会均等とマクナマラ宣言」と続きます。内容は時系列で整理されており、最初の6巻は独立戦争から第二次世界大戦の終結までを、第7巻から第13巻は戦後の展開を扱っています。各巻には時代背景を説明する全体の序文と各章の序文、収録資料を列挙し、収録文書に関する簡単な内容紹介と典拠を記載したカレンダーが付され、研究資料として優れたものです。
収録されているのは軍隊、政府、個人の文書で、文書数は1,100点を超えます。独立革命、南北戦争、米西戦争、第一次大戦、第二次大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争等、主要な戦争における黒人兵の実態、軍隊における黒人兵に対する人種差別や隔離、反人種差別暴動(ヒューストン暴動)、軍隊における人種差別と隔離を撤廃するための改革(ファヒー委員会、ゲゼル委員会)、第二次大戦後の人種統合に向けた試み、軍隊内の待遇と機会の平等を謳ったマクナマラ宣言等、米国黒人兵の歴史におけるエポックメーキングな出来事、黒人兵士招集に関する政策、軍隊の政策に影響を与えた政治的・社会的要因、軍隊における黒人兵士の役割と待遇が一次資料を通して明らかにされます。
アメリカ社会の根本的な課題であるマイノリティの権利をめぐる闘争に、政府の主要機関である軍部がいかに対応したかを理解するうえできわめて有用な資料群です。
※本コレクションはマイクロフィルムBlacks in the U.S. Armed Forces: Basic Documents, 1639-1973をデジタル化したものです
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